土曜映画お嬢様部活動日誌

毎週土曜日に見てる映画の感想です

フルメタル・ジャケット

キューブリック監督はこの映画を反戦映画として描いたつもりはなく、反戦映画扱いにがっかりしていたと言われています。

ハートマン軍曹のとんでもねぇバリエーションを誇る罵倒とファミコンウォーズのパロディCMでご存知、フルメタル・ジャケット。私はどちらかと言うと逃げるやつはベトコンだ、逃げないやつはよく訓練されたベトコンだの方です。ベトコンラーメンってなんだろうね。

この映画、恐らくいちばん有名なところはハートマン軍曹といっしょ!新兵トレーニング!だと思うんですが、実はその部分は50分しかありませんでした。正直もうびっくりした。レナードがおかしくなってハートマン軍曹殺して自分も死ぬところまでたったの50分だとは思いませんでした。あまりにも濃密すぎてこれは半分以上見ちゃいましたわ!って時間見たら50分でした。う、嘘だろ…?!

出だしの丸坊主にするシーンでもう、気持ち悪さでうっ…となります。全員髪型(つまり個性)が違ったのに、全員画一的な坊主にされます。兵士には個性がいらないということなんだろうなぁ…しんどいな… そして、それが終わると、始まります、ハートマン軍曹の罵倒シーン。こんなに罵倒のバリエーションが存在していたとはな…感じいったよ…

ここでの主人公はむしろ、できの悪いレナードです。彼は靴紐も自分で結べないような有様で、見ているこっちはなんで軍なんかに…なんで…と悲しくなります(よく考えたら徴兵制なのでなんでも何もないです、彼は軍に入るしかなかった)し、嫌な予感しかしません。当然彼は足を引っ張りまくり、連帯責任で罰を受けさせられる仲間達に、夜中に石鹸制裁(リンチ)されます。ジョーカーはレナードの担当をしていたのもあって、躊躇いますが、結局殴ってしまう。ここで泣きました。

そこから、レナードは完璧に変わりました。銃に名前をつけ、話しかけ、射撃の才能を開花させ、優秀な兵士になりました。その変わりようには、ハートマン軍曹も思わず「やっとお前の取り柄を見つけた!」と喜びます。その一方で、ジョーカーはレナードはもうダメだ、病気除隊になった方がいいと言います。しかし、結局レナードは卒業を迎えてしまう。

そしてその晩、彼は「フルメタル・ジャケット」と呟き、ハートマン軍曹を射殺、自らも命を絶ちます。

場面は一転し、ジョーカーが戦場にいるシーンになります。よく考えたら、髪の毛があるのでこちらを先に収録したのでしょうね。

そこからは虚しいシーンが続きます、「ほんと、戦争は地獄だぜ!」の台詞のあとに、陽気な音楽が流れたり…売春婦を買ったり…インタビューを受けたり…

最後に戦闘らしい戦闘が流れます、小隊長、分隊長を失ったジョーカー達の隊は、カウボーイ(ジョーカーの友人)が指揮を採るも、進路を誤り、狙撃兵の待ち伏せを受け、二人の仲間とカウボーイを失います。カウボーイの仇を取るため、煙幕を張り乗り込むジョーカー達、ジョーカーは危うく命を落としかけるも、間一髪、ラフターマンによって助かります。狙撃兵は少女でした。自分を殺すように懇願する彼女をジョーカーは射殺します。何を思ってのことなのか、わかりませんでした。何か思ってのことだというのは確かだと思います、慈悲をかけてやる理由はないからです。

その後、暗闇に燃え盛る街とミッキーマウスマーチを背景に、彼らは運良く任期を終えられるに感謝するところで、映画は終わります。

この映画を、反戦映画と思ってなかったというのは、そうだろうなと思います。しかし戦争のありのままを姿を描いたら、それはあまりに虚しいものでした。人々には到底受け入れられるものではなかった。だから、反戦映画だと受け取られたのでしょう。