土曜映画お嬢様部活動日誌

毎週土曜日に見てる映画の感想です

ブロークバック・マウンテン

スタッフロールの曲で悲しさが来た。

ジャック・ニコルソンアカデミー賞作品賞発表の際に、この作品が賞を逃したことに対して明らかにがっかりしてした態度を見せてしまったことでも有名な作品、ブロークバック・マウンテン

物語はアメリカ中西部、1963年から1983年までの20年間に渡る、互いに惹かれ合いながらも、様々なものに阻まれ、結ばれることのできなかった、男性二人の恋を描いたものだ。

寡黙で不器用なイニス(ヒース・レジャー)、陽気だが寂しいジャック(ジェイク・ギレンホール)の恋物語が描かれる。主人公はイニスの方だ。彼は幼い頃に同性愛者がリンチにあって殺されたことがトラウマになり、ジャックを愛していながら、差別と、差別の行き着く虐殺への恐怖から彼の二人で暮らそうという申し出(これは父親が言うように、現実的ではなくただの夢想に過ぎない、だが、二人で暮らしていける道はこれしかなかった。二人が愛し合っていくことは、ただの夢想にすぎない時代だったのだ)を受け入れることが出来ず、誰からも許される男の世界から離れられない。作中、好意が明らかなのはジャックの方だが、彼の方がイニスとは違い結婚生活を(冷え切っているとはいえ)続けられるのは皮肉な話であると思う。イニスは、ジャックとキスしているところをアルマ(イニスの妻)に見られてしまったことを差し引いても、妻と上手くやっていけなかっただろうと思う。

そして、イニスがジャックに出した手紙が受取人死亡で帰ってくる。ジャックの奥さんは、彼は事故死だったというが、イニスはジャックが過去のトラウマと同じように、彼は殺されたのだと感じる。これは、彼の空想なのか、それとも真実なのか、それが明かされることはない。もしかしたらこの時代ではそういった人が殺されるのは、事故のようなものだったのかもしれない。

イニスは、ブロークバック・マウンテンに遺灰を撒いて欲しいというジャックの願いを叶えようと彼の実家に赴く。そして彼は、あの一番幸せだったブロークバック・マウンテンで失くしたと思っていたシャツを見つける。それはジャックのシャツと重ね合わせるようにしてかけられていた。ジャックはずっとイニスを愛していた。イニスはそのシャツを持ち帰り、永遠の愛を誓う。

もうとにかくもどかしい!!!!うぉぉぉ!!!!!!イニスお前!!!お前なぁ!!!お前なぁ!!!

いや…結婚するなとも言えないし、あの時代背景でジャックと暮らしていくことは恐らく無理だったと思う。でもお前…お前のもだもだと不器用さが…多くの人を傷つけたぞ…。いや…イニスが時代や世間に傷つけられてるのもわかるよ…本当に好きな人と一緒にいることが恐ろしくて出来ないんだろ…わかるよ… …いやでも4日間も釣りに行くの、どう考えても怪しいやろ!カウボーイだからいいのか!?ありえるのか!?わからん…しかも釣りって言ってるのに魚も持って帰ってこないしさぁ!偽装工作をもっと上手くやれや!いや自分不器用なんで…とかかっこつけてる場合違うぞ!!奥さんはお前のせいでずっと傷ついてたぞ!!ジャックだって…ジャック……

何よりジャックが一番かわいそうで…彼はずっとイニスに自分と一緒にいてくれと言っているのに…ずっとジャックはイニスを愛していると言っているようなものなのに…ジャック…

最後に、イニスが娘の成長と結婚を祝福し、彼がずっと言い訳にしてきたカウボーイとしての仕事よりも、娘の結婚式を選んだところに、彼の心情の変化が見えるようで、こちらも心が暖かくなりました。彼はジャックの思いと思い出を抱いて、これからずっとジャックと暮らしていく…夢はかなった。

普遍的な、悲しい愛の物語でした。