土曜映画お嬢様部活動日誌

毎週土曜日に見てる映画の感想です

アルトゥロ・ウイの興隆

あらすじ:シカゴギャング団のボス、アルトゥロ・ウイは、政治家ドッグズバローと野菜トラストとの不正取引に関する情報をつかんだ。それにつけこみ強請るウイ。それをきっかけに勢力を拡大し、次第に人々が恐れる存在へとのし上がります。

見る見るうちに勢いを増していくウイを、はたして抑えることができるのだろうか・・・?

引用元:https://arturoui-stage.com/introduction

人生初の観劇を体験してきました!記念goatです!

隙自語失礼するんですけど、大学生の頃に授業で見せられた劇があまりにもつまらなかったので、劇自体を避けていたんですが、たまたま古くからの友人にお誘いを受けたため行ってきました。

な、なんて言っていいかわかんないな…

決してつまらなかったとか退屈だったということではないのですけれど、かなり難しい劇だったというのが正直なところです。

ただ、難しいというのは内容というよりも…

とりあえず、まず出だしでいきなりジェームズ・ブラウンの sex machine が流れるのは驚かされてよかったです。本当に一切なんの前情報もなく行ったので(知っていたのは草彅剛が出るということだけ)、あっこういう感じなんだ?!という感じでした。アメリカのギャングに仮託とは言われていましたが、そもそも音楽がこんなに大きな扱いをされているとは思わなかったので…

ただ役者は歌って踊らないのでミュージカルではないのだと思いますが、これはなんていうタイプの劇にジャンル分けされるんでしょうね。

演技については、あまり詳しくないのでなんとも言えないのですが、先入観ではあると思いつつも、主演の草彅剛にあまり、べらんめぇというか乱暴な口調のイメージがなく違和感がちょっと強かったです。ただ、丁寧で力強い口調になったあとはかなり良かったなと思いました。

他の俳優さんについては特に違和感なくよかったと思いました、というかまぁ私あんまり演技が悪いとかってほとんどわからないので、みんなよく見えます。

演出として、これはヒットラーが権力を握るまでをギャングに仮託しているんですよ。ということを定期的に文字情報で説明してくれます。この文字情報が出ると場面転換がおこなわれる仕組みになっており、初代バイオハザードでドアを開ける描写で場面転換のロードを演出していたのに似ているなぁと思いました。私は気にはならなかったというよりも、ヒットラー周りの細かいところまではそこまで詳しくないため、説明はありがたかったのですが、人によっては毎回区切られてテンポが悪い、もしくは没入感の妨げになると感じる人もいるかなと思いました。

話の内容は考えさせられるものでした。最初はただのチンピラに過ぎなかったウイに、小さな不正を隠そうとしたがために飲み込まれていく企業、力のある政治家。そして彼らは踏み台にされ、ウイの金稼ぎだけではなく権力者への道、引いては滅びの道をも切り開く手助けをしています。この小さな不正のために、司法も報道、つまりは言論も歪められ、壊れていきました。

非常に現代社会への風刺に満ちているなと思いました。実際こういうことがいつ起こってもおかしくない状況であると思いました。ただ、劇中では市民は翻弄されているだけ…というほども出てこないので、ちょっとそこが変かな…?という気がしました。ヒットラーとそれに熱狂したドイツを仮託するのであれば、市民の側を書くべきですし、同じように彼を讃えたマスコミも書くべきだったと思います。その方が作者の意図したところである観客の批判者精神を呼び起こすという意味ではよかったんじゃないかなと思いました。まぁなんらかの意図があるのでしょうが…パンフレット買ったんだから読めとしか言いようがありませんが…

ただ、私が一番引っかかったのはこの観客の批判精神を呼び起こすというところです。これはストーリーがどうとか、演技がどうとかとは関係のないところです。

普段から演劇界に注目しているわけではないので、もしこれから述べるようなことがおこなわれていたとしたら大変申し訳ないのですが、演劇界は他人にそれを求めるほど、そういう、権力者への批判とかしてるんですかね…?

自分はしてないのに他人にだけ求めてるんか…?という気持ちがどうしてもあるんですよね…

日本では芸能人の政治的な発言は忌避される向きが大きく、発言すると大変な炎上になることもままあります。そうなると客が逃げるので、余計に発言を避けるという悪循環になっていると思います。今回はコロナ禍にエンターテイメント業界も大きな影響を受け、選挙に行こうという呼びかけをしていました。今までなかったこととは思いましたが、ただ選挙に行けだけで、選挙に行くとどうなるのか、投票先はどう考えるのか等の内容はありませんでした。

こういうところ見ていると、自分たちは別に何も批判的なことをしていないのに、観客にだけ批判精神を求めるのか…?というのはかなり…疑問というか…なんでこの劇やったんだろうという気持ちになります。

この劇をやること自体がまぁ批判をしていると取ることも出来ますが…こちらに水を向けるだけではなく、自分たちでもやってるの…?と思っちゃって、なんだか評価が難しいな〜〜〜となりました。

あと本当にどうでもいいんですけど、カリフラワートラストっていうのがえっ!?っていう感じがですね…カリフラワーってそんなにこう…ポピュラーな野菜なんだな…って思いました。個人的にカリフラワー全然食べないので…

まぁ演劇を見るという経験が出来てよかったな〜と思いました。じゃあ今後自発的に行くか?って言われたらNOなんだけど……