土曜映画お嬢様部活動日誌

毎週土曜日に見てる映画の感想です

孤狼の血 LEVEL2

あらすじ:広島県警呉原東署刑事二課の日岡秀一(松坂桃李)は、マル暴の刑事・大上章吾に代わり、広島の裏社会を治めていた。しかし、上林組組長の上林成浩(鈴木亮平)が刑務所から戻ったことをきっかけに、保たれていた秩序が乱れ始める。上林の存在と暴力団の抗争や警察組織の闇、さらにはマスコミのリークによって、日岡は追い詰められていく。

引用元:https://movies.yahoo.co.jp/movie/374783/story/

一ノ瀬を逮捕したのがいけなかったのか、ピ瀧が逮捕されたのがいけなかったのか

隙自語をするんですけれど、私はこの白石和彌監督の映画を3本見ていて、個人的な評価は平均するとまぁ当たりの多い監督かなとは思っているのですが、欠点無く面白い映画!というのはなくて、どの映画もオリジナル部分が微妙な監督というのが個人的な評価です。あくまで個人的なので、世間一般や評論家から見てどうなのかは知りません。

特に完全オリジナルのサニー32なんかは本当にやばかったので、普段一緒に映画を見ている同士お嬢様からは「私はサニー32の監督というだけで信用しません」と言われましたわ。

まぁお嬢様の言うことが正解だったわけですが…

前作でヤクザと警察上層部を手玉に取っていた先輩刑事大上が殺され、その後継者となった日岡が単独主人公になったの本作。孤狼の血がを継いだ日岡が主人公!のはずだったんですけれど…

正直大上の上っ面をなぞってるだけに見えてしまうんですわ…大上の、見た目ややることは派手でいかにも賄賂を取っていそうな(実際取ってるんですけど)不良刑事、しかしその実、裏ではギリギリの綱渡りをしつつカタギを守るために暗躍しているというやり方の、前者だけを模倣しているように見えるんですわね…

これの原因は、日岡が言うほどカタギを守っているようには見えないからですね。別に前作もそんなに書かれてたわけではないのですが、まぁまぁ大上が街の人から慕われている描写があったんですけれど、日岡はそれもないので、余計に守ってるように見えないんですね。

しかも、今作では完全にヤクザとは言えないチンピラのチン太をスパイに使っていて、あんまり警戒してる風もなく頻繁に接触した挙げ句に、チン太は惨殺されてしまいます。

大上さんだったらこんなことにならないんじゃないですかね!?という感じがして、やはり大上の表面だけなぞってるみたいに見えてしまいます。

だからなんか…あんまり主人公に好意的になれないんですよね…まぁまだ甘ちゃん描写(元公安の瀬島を信用してしまうところ)はあるのですが、正直乗り切れなかったですね…

また、今作の敵…というかもうヴィランとでも言った方がいいヤクザの上林のインパクトがすごすぎて、日岡は割と霞んでしまった向きもあったと思います。

いかんせん上林の方ではめちゃくちゃな暴力!惨殺!が起こるので、画面が派手になり、それに比べると警察でやばいよ〜〜ってやってるだけの日岡は地味なため、面白くないな…という気持ちになります。

あと、上林が兄貴分殺しまくってることが警察では割と…無風なんですよね…いやなんで逮捕出来ないんですか!とか言って荒れてはいるんですけど…それについて日岡がなにか行動起こしてるふうには見えないので、日岡パートに入ると途端にトーンダウンしてしまうんですね。

まぁ上林の殺戮シーンも回を重ねるごとにだんだん…飽きてくるんですけど!派手な分すぐお腹いっぱいになっちゃうんですけどね。

あと上林がどうしてこんな凶暴でめちゃくちゃな存在なのか、生い立ちが悲惨だというところは匂わせる割に、どうして五十子会長にはあれだけ恩義を感じているのか(その割に五十子会長のためになるか?って言われると微妙な無軌道さ)についてはほとんど謎になっています。そのため、女性の目をえぐって殺す理由はわかるけど、ヤクザたちを殺してる描写はよくわかんない、実際に映画の比重が大きいのは後者なため、なんとなく描かれ方がアンバランスな感じがします。これだったらマジで何もわからんけどただただ無軌道で凶暴のがキャラとして…いやわかんないですね…やっぱわかんないからいい…

あと(まだある!?)、この監督女性キャラがあんまり上手じゃないので、今回もオリジナル女性キャラはうーん…という感じでしたね。最後に瀬島を殺すところも意味不明だったし…別に弟(チン太)は瀬島のせいで死んだわけではなくないですか…?なんかこの女性キャラが下手だから、主人公に「えっカスじゃん…」みたいにドン引きしてしまうシーンとかあるので…

それと、新聞記者に付け回される日岡表現の自由言論の自由だとか言いやがってみたいなシーンがあったように思うんですけれど、それって公権力に属する側に言わせてはいけなくないですか?ちょっとこれはどうかと思うな…

あっ、尾谷組はもうどうでもいいんじゃないですか?ただの日岡のワンちゃんなので…そもそもどうやって日岡と和解したのか全然わかんないわ…あのラストからよく和解したな…

いいところといえばアクションが前より豪華になってて、そこはすごいなと思ったんですけれど、でもこの作品ってアクションが豪華である必要あるんですかね…?

大上のやり方って暴力ではなく権謀術数でヤクザと極道を丸め込んでカタギに実害出ないようにするだったと思うんですけど、それってつまり、日岡自身が殴り合いをする、つまりアクションが豪華になる方向じゃないと思うんですよね。なので、アクションが豪華になってはいたけれど、作品の方向性としては違う、そうじゃないみたいな感じを受けました。

いや〜〜〜…思った以上に文句出る…まだ言語化出来てないけどありますからね……

やっぱり、オリジナル脚本と聞いたときに不安に思った、この監督がオリジナル!?大丈夫なのか!?というのが見事に的中してしまった、としか言いようのない結果と感想でした。

最終的には日岡は原作同様地方に左遷され、原作第二作につながるエンドを迎えたのですが、最初からこっから始めればよかったのにな〜と思います。ただ、原作第二作をやるためには、前作の最後に一ノ瀬を逮捕しないか、ピ瀧が逮捕されないのどちらかが必要です。いやもうどっちが悪いとも言えないんですけど、やっぱり変にオリジナル要素を入れるなとしか言えないですね。

次回作はできれば原作通りにお願いしたいですね!まぁもう一ノ瀬逮捕したから無理なんですけど…なんか現実で逮捕されてる人もいるし…